「キャンドルナイト」とは照明を消し、キャンドル(蝋燭)を灯して過ごそうというもので、スローライフ運動の一つです。日本では、「100万人のキャンドルナイト」と銘打ち、2003年の夏至の日(同年6月22日)に64施設が参加して、第1回が行われました。
文化人類学者である明治学院大学 教授 辻信一氏らが呼びかけ人となり、当初は2001年に原子力発電所建設反対のため行われたカナダの「自主停電運動」をヒントに、原子力発電所に反対するスローライフ運動として始まりました。「原発反対」と100万回叫ぶより、1人1人が生活のワンシーンで電気をつけずに過ごす時間を体感していくことが、いつかほんとうに平和な暮らしへとつながる、との考え方によるものです。
毎年、夏至と冬至の夜(日本時間20:00~22:00)を中心に開催され、その前後の期間に日本各地でさまざまなイベントが行われています。2004年には運動が評価され、グッドデザイン賞(新領域デザイン部門)を受賞しました。「Co2削減/ライトダウンキャンペーン」により環境省も参加しており、地球温暖化防止のための環境活動としての意味もあります。
2008年夏至には全国951箇所でイベントが行われ、韓国・香港・台湾・北京・モーリシャスなど、アジア太平洋地域各地でもキャンドルナイトが開催されるなど、世界に広がりつつあります。また、2008年7月7日の「七夕ライトダウン」には76,397施設が参加し、1,221メガワット/時の電力が節約され、476トンの二酸化炭素が削減されました。
芸術関係施設の参加については、雑誌『地球と人間』2006年7月号に掲載されたた鼎談『芸術は地球を救う、か!?』で、辻信一氏と深瀬記念視覚芸術保存基金代表 深瀬鋭一郎氏が語り合ったことを契機に、2006年夏至から深瀬鋭一郎氏らがギャラリーを中心とする芸術施設に参加呼びかけをはじめました。
これが「TOKYO MiLKY WAY」(トウキョウ・ミルキーウェイ)と呼ばれるアート・フェスティバルです。「東京で銀河をみる」を標榜して、東京都心などでも銀河を観られるように、ネオンで覆われた街に美しい自然の光を取り戻すような豊かなライフスタイルを、芸術やキャンドルナイトを通じて提案するものです。
キャンドルパーティのほか、キャンドルの明かりで展示やコンサート、ダンス、パフォーマンスを楽しんだり、キャンドルを灯して夜に銀座のギャラリーめぐりを行うなど、ロハスな時間を過ごすアート・フェスティバルとして、アートファンにとどまらない幅広い人気を集めています。多くのマス・メディアにも取り上げられています。
年々参加施設は増加しており、2008年夏至には、開催エリアを銀座、赤坂、青山、上野、浅草、横浜の6地域に拡大し、26施設が参加して行われました。2009年夏至には、開催地域は関東全域に拡大し、美術館・ギャラリーなど約50施設が参加して行われます。パンフレット掲載が間に合わない施設もありますので、お出かけの際は公式ウェブサイトをご参照ください。
最近のコメント